塗装のクレームの多くは、塗膜の乾燥問題にあります。現在ほとんどの鈑金塗装工場で使用されている2液硬化型塗料は、乾燥形態が「二液重合反応乾燥」ですので、硬化剤により化学反応を起こし緻密な網目構造を形成しなければなりません。そのため化学反応を活性化させる乾燥機器が大変重要な役割を果たしています。
何にでも当てはまることですが、材料が変われば、道具も変わって行きます。乾燥機器もそうですが、塗料が変わったから乾燥機もそれに合わせて変わらざる得なかったのです。硝化綿ラッカー→NC変性アクリルラッカー→CABストレートアクリルラッカー→アクリルウレタンラッカーと塗料は変遷していますが、乾燥機器も付随して熱風式乾燥機→赤外線長波乾燥機→赤外線中波乾燥機→赤外線短波乾燥機と変わっています(図参照)。乾燥が不十分だと艶引けやウォータースポット等のクレームになりお店の信用問題になりかねません。塗料に合った乾燥機を使用するのもプロフェッショナルな技術といえましょう。
図でも分かるように短波は塗膜に対する浸透力が強く、鉄板から乾かす力があります。塗膜の表層面から乾燥させれば、下層部分が生乾き状態になってしまい、真乾きができずクレームを起こす原因になっています。そのため現在の乾燥機の主流は、赤外線短波乾燥機になっています。